はい桐沢です!
今年の2月から始めた「世界に通じるリズム感を持とう」との大風呂敷を広げたリズムのオンラインレッスンを受けてくれた方が120名を超えました。
僕は「おしゃべり系」として活動していますので、楽器は一切使わないためドラマーのくせに受講者の大半がドラマーではありません。
ロサンゼルスにいるだけで『世界に通じるなんて大袈裟だ!』と思われる方もいるとは思いますが、
ここはロサンゼルス。
ドラムでのしあがってやろう!と血気盛んな「凄腕ドラマー」が毎週のように世界から集まってきます。
そんな彼らと「凄腕ドラマー」ではない僕はプロドラマーという「椅子取りゲーム」を13年やり続けゲームに生き残る事ができました。
逆に「凄腕ドラマー」ほど脱落が早いのです。
なぜならば「凄腕ドラマー」は大量にロサンゼルスにいて、その中で「凄腕の仕事」を取り合っています。
凄腕の仕事
大雑把にジャンル分けすると「凄腕の仕事」とは2つあります。
映画のレコーディング仕事やテレビの演奏仕事
それと今ではあまり名前を聞く事はないのですが
LAフュージョン
まあ「Musician’s Music」と言われることが多く「音楽家のための音楽」です。
プロをキープ(生活していく)していくには両方かどちらか一つでお金を常に一定以上稼がなくてはいけません。
Theハリウッド仕事
まず「映画のレコーディング仕事やテレビの演奏仕事」ですが、
ここにはもうレギュラーメンバーが固定されており、そこにいきなり食い込むことはほぼ無理
ここはハリウッドのお膝元でレコーディング仕事はたくさんありますが、ほぼ同じメンバーが仕事を独占しています。
この仕事のありつくための「順番待ちリスト」も何年も止まったままです。
とは言え、まず個人ミュージシャンとして仕事を始めるにはこの「順番待ちリスト」に載る必要があります。
順番待ちリスト
もしかしたら聞いた事があるかもしれませんが、売れっ子ミュージシャンを
「First Call」と呼びます。
これはこの「順番待ちリスト」の一番上に名前があり、一番最初に電話をかけるミュージシャンの事です。
もしこの「First Call」のミュージシャンの都合がつかない時には「順番待ちリスト」の2番手に電話をかけます。
このリストに載る事が「映画のレコーディング仕事やテレビの演奏仕事」では最重要です。
しかしこのリストは膨大な量なんです。
LAのプロの数
以前Twitterにも上げましたが、僕が所属している音楽家の労働組合「ユニオン」のロサンゼルス支部にプロのドラマーとして登録されているのが約1500人
これはロサンゼルスだけで、さらに近所にはディズニーランドを管轄する別支部もあり、そこにも多くのプロドラマーが所属しています。
一応ユニオンに登録しているのは「プロ」であってロサンゼルスの全ドラマーではありません。
まあそのプロ全員に十分な仕事があるとは正直言えませんが、、、。
ということで先程のほぼ動いていない「順番待ちリスト」の5位以内に入るために1500人のプロドラマーとの椅子取りゲームをしなくてはいけません。
まあ不可能ですなぁ
音楽家のための音楽
次は「Musician’s Music」と言われることが多い
「音楽家のための音楽」
世界から集まる凄腕ドラマーはやはり80年代90年代LAのドラマー像を追いかけてロサンゼルスに集まります。
ヴィニー・カリウタやデイヴ・ウェッケルに代表される「The LAドラマー」
日本でも音楽講師世代ではこのスタイルこそドラマーのあるべき姿と思っている方も多いみたいですが
残念ながらこのスタイルは金になりません。
生き残っていくということは「お金を稼ぐ」ではなく「お金を稼ぎ続ける」
生きていくにはこの「続ける」軌道に乗らなくてはいけません。
LAサウンドの聖地
LAサウンドの聖地
「ベイクドポテト」
過去にここで素晴らしい演奏が繰り返され、それが多くのCDにもなっています。
有名なのはこれですな
グレッグ・マディソン名義の
「ベイクドポテト スーパーライヴ」
ギターはスティーヴ・ルカサー
ドラマーは我らがジェフ・ポカーロという
Theロサンゼルス!
僕もここで何回か演奏した事があります。
その時の動画ですが、まぁいわゆるLAサウンドです。
この時、ありがたいことにお客さんは満員でした。
しかしある意味、世界で一番有名なLAのライブハウスでもギャラは3万円弱
一回のライブのギャラとしては多いかもしれませんが、3万円では家賃の5分の1くらいで、家賃を稼ぐには月にベイクドポテトでお客さんを満員にしたライブを5回しなくてはいけません。
大体ですがここで演奏できる「凄腕ドラマー」の機会はあって月1回
という事は「音楽家のための音楽」で「お金を稼ぎ続ける」のは非常に困難なんです。
バカテクは必要?
おしゃべりだけでYouTubeを始めた時
「ドラムのバカテクがないなんてLAで活動できるわけがない!説得力がない!」
とのコメントをもらいましたが、これは残念ながら的外れと言わざるを得ません。
なぜならば音楽の仕事は多岐に渡り、バカテクが必要とされる現場は非常に少ないのです。
よってその中で「凄腕ドラマー」が活躍できる音楽の仕事は適当ですが5%もないでしょう。
しかもその5%の中で「順番待ちリスト」の椅子取りゲームに常にLAの「凄腕ドラマー」と一緒に参加しなくてはいけません。
これはプロミュージシャンというビジネスという観点からはあまり得策ではありません。
僕は本当にたまたまなんですが、残りの95%の音楽ビジネスの中に入る事ができ、その中で経験を積み先程の「順番待ちリスト」に食い込む事ができました。
ビジネスから考える
音楽の仕事とはクライアントが求めている事をしっかりと把握し、提供できる能力が必要とされます。
お客さんがコカ・コーラを必要としているときは、ペプシではなくコカ・コーラを提供する必要があります。
このビジネスセンスは楽器のテクニックからの目線では非常に見えにくい
ここに陥りやすい世界から集まる「凄腕ドラマー」は資金切れを簡単に起こし、椅子取りゲームから脱落していきます。
日本に入っていく情報はSNSが盛んになったとはいえ、やはり音楽ビジネスの5%のミュージシャンの話に溢れています。
その5%の中でしかミュージシャンが活躍できる場が無い!なんて事はありませんし、音楽の仕事はもっと多岐に渡ります。
もちろんその5%から学べる事もたくさんありますが、それと同じかそれ以上に学べる事が他の95%からあり、そこではアメリカの素晴らしい音楽に触れる事ができます。
音楽の表現のための技術を超えてしまった楽器のテクニックは、音楽で生きていくにはマイナスに働きます。
今日のLAからはこんな感じです!
桐沢でした! 良い1日をお過ごしください
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