はい桐沢です!
ロサンゼルスで演奏仕事をする際には音楽家の労働組合に所属している必要があります(表向きはね)
僕もだいぶ前からこの組合に所属しています。
その組合の名前はAFM
『The American Federation of Musicians』
その中のロサンゼルス支部『Local 47』に僕もだいぶ前から所属しています。
僕らの間では「ユニオン」と呼んでいます。
この「ユニオン」という言葉は単純に「労働組合」という意味なので、俳優のユニオンや作曲家のユニオンも別にあります。
僕が所属している「Local 47」はハリウッド全域をカバーして(ディズニーランドでの演奏はロングビーチにあるLocal 7が担当)
日本でもめちゃくちゃ有名なミュージシャンも所属しています。
僕はドラマーなのでドラマーの名前で申し訳ないのですが、
デイヴ・ウェッケルラス・カンケルチェスター・トンプソンティコ・トーレス(ボンジョビ)など多分ジムケルトナーやヴィニーカリウタもいるはず!
亡くなる前までジェフ・ポカーロも所属していました。
おそらくですが今でもジェフの演奏印税はLocal47が管理しています。
ユニオンは労働者の権利を守る団体で、簡単に言うと演奏にまつわるお金の流れを管理してる組合です。
ユニオンに加入
僕がユニオンに加入したのは2012年頃だったかな?
理由はユニオンが所有している建物の中で行われるビックバンドのセッションに参加するため。
ビックバンドのセッションが出来る部屋が2部屋があり、そこで毎日LAの一流メンバーがものすごい演奏を繰り広げていて、僕もその中に招待されユニオンに加入することに。
このセッションは人がどんどん変わるジャムセッション形式ではなく、招待制の固定メンバー
例えばドラマーが曲ごとに入れ替わるものではなく、最後まで同じメンバーで初見演奏をしまくるというセッション。
*その日に来れないメンバーはサブ(代わりを送る)を用意します。ちなみに英語ではSub-Outと言います。
平日は
- 10am
- 13pm
- 16pm
- 19pm
で週末は
- 10am
- 13pm
このスケジュールでセッションが行われます。
この時間設定もハリウッド仕事のスタート時間と連動している場合が多く、朝のセッションを終え、車でスタジオまで5分で移動しレコーディングをし、夜のセッションに戻ってくる。
なんてスケジュールを組むことが可能です。
週に200曲
今、全世界を襲っているパンデミックの影響で全てのユニオンセッションは止まっていますが、それまでは僕は週に多い時で5日はセッションに参加していました。
もちろん1日に複数回バンドで演奏することも。
大体ですが週に10バンドくらいには関わってました。
一回のセッションにつき初見演奏を20曲くらいやりますので、単純計算をすると週に200曲の初見
1ヶ月で初見を800曲 少なく見て600。
年間で初見は7200曲(少なく見ても5000曲)になります。それを8年は続けることができました、
今年の頭はTwitterでカース・サウンダースのビックバンドの初見演奏を頻繁に垂れ流ししていたので見てくれた方もいるかも。
こんな感じの初見セッションを週に10回ほど行っていました😭
金は出ない!
このセッションにはお金は一切発生しません。ギャラは出ないんです。
目的は先ほどから言っている『初見演奏』
初見演奏とは初めてもらった譜面をその場で演奏すること。
やはりそこは天下のハリウッドのミュージシャン達、もの凄いハイクオリティで演奏。
大体一回で完璧以上に演奏し、間違えて止まることはあまりありません。
なぜハリウッドの一流ミュージシャンがギャラの出ないセッションをするのか?
それは
『初見演奏』をすることによって、どんな仕事に行っても、余裕でこなせる状態を常にキープしておく為
そのため、このセッションでは仕事ではお目にかかれない難しい譜面がボンボン出てきます。
仕事の方が譜面が簡単!!
よって「初見演奏」はユニオンでは当たり前で『初見』の先の音楽センスを求められます。
このユニオンでのセッションは常に腕を磨き続ける場で、ここに参加する事によってハリウッドでの仕事に余裕を持って挑める状態をキープできます。
ミュージカル
これまで僕が参加した代表的なミュージカルは
- You are a good man Charlie brown
- Hair
- Peter Pan
- Pippin
- Hair Spray
- Cats
- School of Rock
- Chorus Line
- Chicago
- RENT
全て譜面仕事です。
こんな恐ろしい持ち替えがある曲もミュージカルでは当たり前。
今日のミュージカルピットの僕の見せ場
持ち替え😜色々バタバタしています
最後は立ってチャイナ🇨🇳明日はもっとスムーズに行くことを願います
衣装は90年代を意識してくれだそうです、。 pic.twitter.com/TvDcOdHy3m
— Satoshi Kirisawa (@KirisawaSatoshi) February 26, 2020
僕はユニオンセッションで鍛えられたおかげで、ミュージカルの世界で仕事ができるようになりました。
これはロックバンドで演奏するとは全く別な世界で、僕は本当にミュージカルの演奏が一番ドラムの仕事でセクシーだと思っています
なぜなら基本的にミュージカルのオーケストラは舞台の下のピットと呼ばれる薄暗い場所で演奏します。
お客さんからは見られることはほとんどありませんが、一歩でも間違えれば全てが終わるという緊張の中で演奏。
真っ暗なピットの中で譜面灯の光が譜面と楽器を照らす。
ああ セクシー!
仕事の演奏
『譜面なんか読んでいては良い演奏はできない』『クリックを聴きながらだとノリが出ない!』
など抵抗感がある人もいるのはわかりますが、
ここにも美学がありハリウッドのミュージシャンはびっくりするようなレベルで演奏できます。
彼らが素晴らしい才能がある事も間違いありませんが、ユニオンセッションで演奏をし続ける日常を送っている賜物とも言えそうです。
しかしそれもパンデミックが始まって以来ストップしたまま。。。
はい今日のLAからはこんな感じです!
みなさまいい1日を!
桐沢でした!
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