はい桐沢です
リズムに興味のある方はもしかしたら聞いたことがあるかもしれない言葉
『アフリカンコンセプト』
これは僕が作った造語(?)です。シンプルな言葉なので他のことに使われている場合もあると思いますが、リズムに関わる言葉としては僕が作りました。
しかし意味は僕のオリジナルではありません。表現方法は違えどもアフリカンコンセプトはリズムを研究している人(ドラム研究ではない)や文化人類学者の中では当たり前の話で、僕が2018年にYouTubeで大々的(?)に発表した『誰でも絶対にグルーヴできる方法』『誰も知らない本当の黒人リズム』は音楽以外のリズム研究の中ではごく普通のものなんです。
ただそれをアフリカンコンセプトとして名前をつけ、指パッチンで説明したのは僕が最初であることは間違いありません(笑)
だ・もんで僕が考え出したコンセプトではなく、もっと言うとリズムの研究者や文化人類学者が考え出したものでもなく、リズムを大昔から繋いで来た人類のリズム・コンセプトなんです。
これを僕はアメリカで仕入れ、アメリカで実践して自分の言葉にしただけのもので完全なるパクリです。
僕は完全にパクリ芸人です。
ではこの人類のリズム・コンセプト、アフリカンコンセプトとは一体どういったものか?
習って来たリズム
僕らは教育の中でリズムというものを学んで来ました。もし皆さんに『リズムってなんですか?』と聞いたらどう答えますか? 人によっては『音と音のつながり』『音の強弱』など色々認識はあると思います。
ちなみにみんな大好きWikipediaにはこのように書かれています
リズム 古代ギリシャに生まれた概念で、ῥυθμός – rhythmos(リュトモス)を語源とする。リュトモスは古代ギリシャ語では物の姿、形を示すのに一般的に用いられた語で、たとえば「αという文字とβという文字ではリュトモス(形)が違う」というように用いられた。やがて、音楽におけるひとつのまとまりの形をリュトモスと言うようになった。
時間軸の中に人間に知覚されるような2つの点を近接して置くと、2点間の時間に長さを感じるようになるが、その「長さ」をいくつか順次並べたものをリズムという。律動と訳される。
すんませんリズムを生業にしながら半分も理解できません、、。
では僕らが慣れ親しんだ譜面にするとこのように
ふう これなら理解できますな
ミュージシャンの僕らはリズム譜と理解できますが、一種の記号みたいなものです。
西洋式リズム解釈
西洋式のリズム表記が誕生したのは、長く見積もっても900年ほど前です。
ちなみにメトロノームは1800年代のドイツでまだ200年しか歴史のないものです。
僕らミュージシャンはこの二つ、譜面とメトロノームを軸とした考え方でリズムを学んできました。
それは幼稚園でカスタネットを持った時から始まっています。
西洋式のリズム解釈とは、線を引き、数字の名前をつけ区別する。
僕らが習ってきた
4分音符
16分音符
4・4拍子
8小節
テンポ120
メトロノームなど
これらは全て西洋式です。
アメリカにこの事に警鐘を鳴らす大学教授がいます
ハル・ガルパー
『アメリカの音楽教育には重大な欠陥がある それはリズムを紙で教えてしまった事だ』
『リズムを譜面で学ぶ』という僕らが何年も何年もしてきた事に欠陥があると。
これは一体どういうこと?
人間の生まれたままのリズム
リズムはいつ誕生したのでしょうか? 僕には分かりません。
しかし少なくとも西洋式のリズム解釈が生まれた900年前よりは昔ということは言えそうです。もしかしたら桁が違うかも。
音楽の3大要素 メロディ ハーモニー リズム
メロディーとハーモニーは西洋ヨーロッパから、リズムはアフリカから来ました
この動画を是非見ていただきたいのですが、何か僕らが普段聴いている音楽とは違うリズムの吸引力みたいな物を感じませんか?
試しにこの動画の歌と合わせ3連符を手拍子で叩いてみてください。
ハマりますよね
では今度は彼女たちの足のステップに注目してください。足のステップが8分音符になります。 僕らが習ってきた西洋式では数字で別物として考えられている8分音符(2)と3連符が同時に流れています。
この不思議な感じが先に書いたリズムの吸引力に感じませんか?これを僕はアフリカンコンセプトと名付けました。
西洋式ではヒミオラという手法に当てはまりますが、大きな違いは彼らにとっては音楽の手法の一つではなく、リズムという生活の中にある昔から受け継がれた文化なんです。
昔の動画ですがこちらでさらに詳しいアフリカンコセプトの説明をしています。
西洋式のメリット
西洋音楽教育で育った僕らは足のステップが1.2だから、これは2拍子や4拍子。それか3を基準にして考えると6/8などと分析してしまいます。
しかしアフリカ人はどう考えているでしょうか?
彼らは西洋式でリズムを習っていません。僕らが知っている西洋式の拍の概念も数字の概念もないんです。という事は僕らがリズムを説明する際に使う言葉も彼らとは違う。
先ほど僕はアフリカの動画を見るときに、アフリカンコンセプトを8分音符と3連符で説明しました。なぜか? それは西洋式の説明は伝わりやすいんです。
紙に表記して、他人に教えるという点ではもの凄く便利で伝えやすく、この西洋式音楽教育を受けた人であれば例え言語が違っても同じ事を再現する事ができます。
現に僕は今ロサンゼルスでこの記事を書いていますが文字と一緒で共通認識さえあれば、地球の裏側の人にも伝える事が容易です。
だからこそ西洋の歴史の側面もあり、世界の音楽教育方法として普及したのだと思います。
しかし便利の陰でこぼれ落ちてしまうものもある。
こちらの記事で西洋式のリズム教育の弊害をまとめています
西洋式リズム教育をぶっこわーす
西洋式の届いていない民族
リズム学者の言葉
『教育を受けた音楽家こそ、教育を受けていない民族の音楽を聞くべきだ。何故ならばそれが生まれ持った人間の自然なリズムだから』
この言葉の意味は
『世界には僕らと同じ西洋式の教育を受けていない人がいて音楽を作っています。その彼らこそが人間の生まれたままの自然なリズムを奏でている。だからこそリズムというものを知りたかったら、彼らから学ぼう』という意味です。彼は続けてこう言います。
『人間の自然なリズムは1.2.3』
いつも紹介するピグミー族の音楽、手拍子を2と捉え、同時に3も当てはまる事を体感してください。先ほどのダンス動画と同じコンセプトで聴けます。2と3が混じり合うポイント、これが1です。
これこそが『人間の自然なリズムは1.2.3』アフリカンコンセプトです。
今でもこのように昔と同じ音楽を奏でているアフリカのピグミー族、彼らは何千年も前のエジプト王朝の記録に『踊りと歌の名手』として記録にも残っています。
彼女らが僕らと同じ西洋式で学んだからこの素晴らしいリズム感を得たと思いますか?
そんな世界最高峰のリズム感を持った彼女らは僕らの習ってきた西洋式のリズムの解釈は全く知りません。 当たり前ですがここ900年以内に誕生した譜面やメトロノームとは無縁の人達です。
繰り返しですが僕らがリズムを説明する際に使う言葉も彼らは知りません
音楽のバランス
音楽の3大要素 メロディー、ハーモニー、リズム
メロディー、ハーモニーは西洋ヨーロッパから、リズムはアフリカから来ました。
これはヨーロッパからの移民、アフリカからの奴隷という歴史上の出来事によりアメリカに持ち込まれ、時にはぶつかり合いながら、ゆっくり人種の壁を越え混じりあって行った。
これがアメリカの建国時から今に繋がる文化と音楽の融合で、これこそがアメリカの歴史的遺産です。
僕らが受けて来た音楽教育は西洋式3アフリカ0
これによって僕らはリズムの分析の仕方も西洋式しか知りません。
僕もロサンゼルスでの仕事現場ではほぼ譜面を使います。という事は西洋式のリズムの解釈は現代において必須です。しかし表現方法にはアフリカを入れる。
『西洋式の考え2、アフリカの考え1』もしかしたらこれが僕らに必要なこれからのリズムへの向き合い方かもしれません。
最近、ズバ抜けてこのアフリカンコンセプトを感じる曲を発見しました。
彼女はペルー系フランス人。僕にはアフリカンコンセプトと同時に南米のフォルクローレと西洋の音楽の融合が聞こえます。
まさに西洋式の音楽が届いていない民族の音楽と、西洋の音楽の最高のバランス
是非みなさんも世界の音楽から『アフリカンコンセプト』を探してください!
彼らから何を学べるか?
僕らはリズムの解釈を全て西洋式でやるように教育されて来ました。
気付かなくてはいけない事は『習って来た事が間違っていた』ではなく『習ってきた以外のリズムの世界がある』という事に気づく。
『リズムはどうやらリズム譜面などが誕生する前からこの世界にあった!』とするなら、決して『僕らの知っている西洋式が間違っている!』ではなく、『リズムにはさらに奥がある』と考えるとワクワクしませんか?
新しいリズムの世界があるとしたら今の状況なんて関係ありません。自分のリズム感に悲観する事はないんです。
何故ならば僕らは本当のリズムではなく、後から作られたリズムの解釈で悩んでいるからです。 悩み方も解決方法も西洋式の中でしか探すことができない。だから苦しいんです。
経験者こそ本当のリズムから離れたところにいて、初心者だからこそ本当のリズムに近いところにいるかもしれません。
全く知らない西洋式ではないリズムの世界がある。それを知る事によってリズムのバランスを西洋式3アフリカ0から西洋2アフリカ1に変えていく。
西洋式から離れ『リズムの生まれた場所アフリカから考える』という事に大きな意義があります。
『人間の自然なリズムは1.2.3』
知れば知るほどアフリカンコンセプトはシンプルなんです。
先ほど紹介したピグミー達のCD、自然音も含めてアフリカン・コンセプトで聴けます。
特に途中のウォータードラム(水太鼓)は水しぶきまでリズムにはまっていて人間の力に驚愕します。
興味のある方は是非!
記事の途中で紹介したAana tijouxのCD
西洋式の音楽が届いていない民族の音楽と西洋の音楽の最高のバランス
もしこの記事を面白いと思ってくれたらシェアして頂けるとアメリカから僕が喜びます!
桐沢でした!
桐沢さんのレッスンを受けてから感覚が変わりました
この頃は保育士として仕事に追われていますが、こうやって文章としてまとめて頂き、繰り返し読み返すことができること、感謝です
素晴らしい〜
桐沢さんは私にとってリズムのお師匠さまです
勝手に思っています
これからも動向を気にかけ、応援し、身近に広めていきたいです
体に気をつけて頑張ってくださいねー