はい桐沢です
音楽関係やリズムに興味がある皆さんであれば「グルーヴ」という言葉を聞いたことはあると思います。
ミュージシャン界隈の言葉といってもよく、特にドラマーを中心に語られる事が多い言葉です。
日本で昔からあまり疑問もなく言われている
「独特のグルーヴ」
「ドラムのカッコいいグルーヴ」
『音楽によってグルーヴは違う』
時にはSNS上で捉え方や考え方の違いから「グルーヴ論争」という少し皮肉った言い方さえもされるこのグルーヴというもの。
僕は14年間アメリカLAに住んでいますので「日本の情報を知っている」とは全く言えず、おそらくほとんど知りません。
嫌味と捉えられても仕方のない事ですが、SNS上で見られる「グルーヴ論争」や「リズム」に関しての発信はあまり的を得ていない、というより日本の中でしか言われていない事を 日本の中で議論していると感じます。
実際の経験よりも思考や思想の方が優先してしまい、感情的なってしまう。これらが本質に向かう事を妨げている気がします。
特に最近聞いた『音楽によってグルーヴは違う』
「サンバにはサンバのグルーヴ、ブルースにはブルースのグルーヴがあるから同じではない」
果たしてこれは、実際の経験から出た言葉で、思考や思想ではなく本質的な発言なんでしょうか?
海外の経験を伴わない日本からだけの解釈こそが『日本でしか言われない』グルーヴ論やリズム論を生み出している可能性は否定できずもしかしたらこの解釈こそが「グルーヴ難民」を生み出している元ではないか?
これらを自分のアメリカでの経験から書いていきます
まずは僕がアメリカでやって来た演奏仕事のいくつかをご紹介したいと思います
最初は僕の演奏自慢大会なので、そんなのには興味ね〜よって方は目次から
アフリカのリズムの影響のある音楽に飛んでください
様々なジャンルの演奏経験
- ブルース
僕は2つのブルースバンドで何度もライブをし、彼らとはブルースフェスやアメリカの色々な場所で演奏しました。
面白いところではヘルスエンジェルズの集会でも演奏しました。
仲間だと認識されるととても優しい方々です😝
この他に何度かブルース・ブラザーズのトリビュートバンドに参加し、ツアーにも出ています。
この話はこの動画 スティーブ・ジョーダンの後悔している事で話しています。彼が今のような世界最高峰のグルーヴドラマーになった経歴を彼が『後悔している事」から探るという、今までとは違った切り口で話しています。
僕のYouTube の初期のヒット作品です。お時間のある時にぜひ!
これはあまりお金にはなりませんが、僕が一番重きを置いている音楽です。
17人編成のCarl Saunders (カール・サウンダース)のビックバンドに週1で参加しています。
カールは世界的に有名なJazzトランペッターで僕の師匠で、何年も彼と一緒に過ごし「グルーヴとはなんぞや」を僕に教えてくれた人です。
jazzコンボ これも毎週のように参加しています。
があまり金にはならんですね。。。
元アメリカ陸軍の音楽監督のラテンバンド、大編成のビックバンド、小編成のバンドの両方にレギュラードラマーとしてもう6年近く参加しています。
コンガ 🇵🇷プエル・トリコ
ボンゴ 🇵🇦パナマ
ピアノ 🇸🇻エルサルバドル
ドラム 🇯🇵日本
ベース 🇵🇷プエル・トリコ
それぞれ素晴らしいリアルなラテン界の住人です。(僕以外)
特にパナマ人Geo彼はポンチョ・サンチェスのバンドメンバー。
彼のリズムに乗って踊って歩く様子をこちらで動画にしています!
衝撃的とのコメントもいただきました ぜひ
セルジオメンデスのヴォーカルだったBonny Bowden(ボニーボウデン)
彼女からは『あなた本当はブラジル生まれじゃないの?』との言葉を初めて雇われたコンサートのMCで言われ、その時からレギュラードラマーとして何年も参加しています。
去年は世界的なブラジリアン・パーカッショニストのパウリーニョ・ダ・コスタと一緒に演奏する機会に恵まれました
おそらく一生忘れられない経験です。
いわゆる日本でグルーヴの代名詞として扱われる8ビート系の仕事 おそらくアメリカで僕が一番お金を稼いだのはこの仕事です。
Top40という日本ではなかなか聞かない音楽のジャンル
これは何かというとラジオなどで流れるアメリカで流行った今週の第1位から第40位までを全て一晩で演奏するというもの
最近のヒップホップもあれば昔のR&Bもあります。僕はこのtop40バンドを2つ掛け持っています。
8年連続で参加している中央ヨーロッパの国
🇭🇺ハンガリーのバンド
ここでは伝統的なヨーロッパの音楽、ワルツ、ポルカ、名前はわかりませんがクラッシックとポップスが混ざったような音楽も演奏します。
僕は一時期、ロサンゼルス市警の音楽隊に参加していました、最初はジャズバンドの一員として雇われましたが、その後オーケストラの一員にも組み込まれました。
自慢話で申し訳ないのですが、僕はかなりの種類の音楽を今までアメリカでお金をもらって演奏して来たと言えます。
アフリカのリズムの影響がある音楽
ブルース、ジャズ、ラテン、ブラジリアンと8ビート系これらは間違いなくアフリカのリズムの影響がある音楽です。
これらには全てアフリカから奴隷が連れて来られた場所で発展した音楽、という歴史的な共通点があり、全く同じ物を感じます。
それはアフリカ音楽から感じるものと全く一緒です。
しかしハンガリー音楽や ロサンゼルス市警でのオーケストラからはこれを感じられません。
このリズムの共通点から感じる物 これは一体何なんでしょうか? もしくは全く別な新しい名前をつける必要があるのでしょうか?
『音楽によってグルーヴは違う』のか?
もし世の中の音楽の種類によってグルーヴが別々にあるとすれば、歴史や文化のつながりを考えていないことになります。
それにその音楽の種類は歴史的にみて、きっちりと線を引きカテゴライズ できるものなの?
例えばブルース、R&B ヒップホップとカテゴライズされたもの、これらは名前が変わった途端、共通点はなくなるのでしょうか?
リズムの移動
17世紀 奴隷貿易という悲劇によってアフリカから人間が労働力の商品としてて色々な国に送られました。
皆さんもご存知の通り僕のいる🇺🇸アメリカは最大の奴隷輸入国の一つです。
その奴隷として連れてこられたアフリカ人がブルースやjazzの礎を築いた事は有名です。
その後R&Bやゴスペルに流れて行き、当たり前ですが8ビートと言われるものの源流になります。
ラテン音楽 まあここはひとまとめにできないのですが
例えば🇨🇺キューバの音楽や🇯🇲ジャマイカのレゲエ これらもアフリカの奴隷が連れ込まれた地域から生まれた音楽です。
🇧🇷ブラジルには その時代の最大の商品『砂糖』
その原材料サトウキビ畑への労働力としてアフリカから多くの人が運ばれて来ました。
その彼らと現地の音楽が混ざり今、僕らが思い浮かぶサンバなどのブラジル音楽になりました。
しかし毎年参加している中央ヨーロッパの国 ハンガリー音楽からはリズムの共通点を感じません
これはロサンゼルス市警のオーケストラでも同じです。
なぜ? もしかしたらこれらはアフリカのリズムと交わる前の音楽だから?
🇭🇺ハンガリーには僕の知っている限りあまりアフリカの影響はありません。なぜか?
アフリカの植民地化に関わった国
🇫🇷フランス
🇬🇧イギリス
🇧🇪ベルギー
🇮🇹イタリア
🇪🇸スペイン
🇩🇪ドイツ🍺
🇵🇹ポルトガル
計7カ国
ハンガリーは含まれていませんし、奴隷の輸入国でもありませんでした。
音楽のカテゴライズへの疑問
アフリカの影響から生まれた音楽、とアフリカの影響を受けていない音楽の違い
これは一体なんなのでしょうか?
ブルースから発展したR&Bやゴスペルはブルースとは全く違う種類のグルーヴなんでしょうか?
もしくはアフリカからブラジルに奴隷と一緒に連れてこられたリズムは アメリカにアフリカから持ち込まれたリズムとは全く違うものと言えるのか?
そもそもカテゴライズすると言う事に大きな問題があるのではないかとも思います
どういったことかと言うと、これはサンバ、これはレゲエ、こればブルース これはヒップホップなどアフリカのリズムに影響された音楽にリズムの境界線は明確に分かれているとは考えにくいからです。
この音楽の区分けはなにを基準にして行われるのでしょうか?
おそらく主な物は
・国別
・言語
・楽器の種類
「音楽の種類によってグルーヴは違う」というのは、おそらく国別がある程度の境界線になっていると思います。
であれば、その境界線はしっかりとしているのでしょうか?
国別で境界線があるとすれば
- 国の中の地域ごとに違う?
- 隣町と自分の町のグルーヴは違う?
- 言語によってグルーヴは違う?
- 最小単位まで考えると人間一人ずつ違うグルーヴを持っている?
日本では想像できないかもしれませんが、同じ国の中でも同じ言語を使っているとは限らないのです。
僕のいるLAでは英語とスペイン語、カナダは英語とフランス語、南米ブラジルはポルトガル語、その周辺国はスペイン語。インドに関してはいくつあるのかわかりません
この言語の境界線も国の境界線と一緒で後から人間の都合で作られたものです。
結論『音楽によってグルーヴは違う』のか?
このまま違う違う と議論を進めていったら いつまでたってもアンサンブルの中でグルーヴという共通認識は生まれません。
違う違うではなく、共通点は何だ?の方に目を向ける こちらの方が歴史的には本質的と言えます。
もしカテゴライズするのであれば
との考えはかなり的を得ていると思います。
この二つの違いと、アフリカの影響を受けている音楽の中に共通として流れるもの これをなんと呼びましょうか?
もしくは全く別な新しい名前をつける必要があるのでしょうか?
リズム学者の言葉
『人間の生まれ持った自然なリズムは1.2.3』 アフリカンコンセプトですね。
さらに彼こう言います。
『音楽教育を受けた音楽家こそ、音楽教育を受けていない民族の音楽を聞くべきだ。なぜならばそれが人間の自然なリズムだから」
僕が聞いているのは、アフリカのピグミー族、北極圏に近い場所に住むイヌイット、チベットや中東イスラムの音楽、そしてここ🇺🇸のネイティヴ・アメリカンの音楽。
この西洋式の音楽教育を受けていない民族の音楽からは同じアフリカンコンセプトの1.2.3を感じます。
アフリカンコンセプトと名前をつけていますが、世界に目を向けるとこれはアフリカ限定にできるものではなく、西洋式の音楽教育を受けていない民族からは同じリズムのコンセプトがあります。
アフリカの音楽の影響というよりも
アフリカ音楽は一つのジャンルではなく、共通点グルーヴの源とも言えるかもしれません。
ここまで考えると 『音楽によってグルーヴは違う』という言葉は的確に的を得ているとは言えず、余計にグルーヴという物の姿を見えにくくしている可能性は否定できません。
違いを見つけるのではなく、世界に散らばったリズムの共通点こそがグルーヴとの解釈は僕の経験上かなり的を得ていると思います。
長い文章最後までありがとうございました! こちらの記事をYouTubeで動画にしています。
ぜひご覧ください
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